2015年10月22日木曜日

和綿のつながり ― 自然農入門体験記(12)

10月14日(水)に,咲祝の庭(シュマン・デュ・ボヌール)で八ヶ岳地域で和綿を栽培,収穫,糸つむぎから布づくりまでを行っている伊久美留美さん(白州町)から和綿のお話を伺った。
http://sannichi.lekumo.biz/hokuto/2015/06/post-423e.html

和綿の種蒔きは、5月、収穫は10月から12月、花は下からできて、一本でとても長い期間にわたって収穫するという。
それを一つ一つ収穫していくのは、やはりとても時間と手間がかかるそうだ。だから、大量収穫の場合は、枯れ葉剤を使って、無理矢理に草を枯らし、一斉に収穫するらしい。

収穫のあとは、種取り、種を取った綿花を打つ作業、打つことによって、空気が入り、綿かがふんわりと膨らんでくる。そのあと、糸作りとなる。和綿は、西洋産に対して、繊維が短いので、糸が切れやすいとのこと。
この糸作りには、チャルカと呼ばれる手動の器具が使われる。インドでガンジーが普及を奨励したというものである。綿花を少しずつ糸にする作業が、いわゆる糸紡ぎだが、おとぎ話の世界と違って、結構手間がかかるし、それなりの速度で糸をつむぐには相当の熟練が必要のようだ。
紡がれた糸は、束にして並べ、その束を熱湯に入れて、縒りを定着させる。
最後は、布にする作業で、いわゆる機織りと呼ばれる工程だ。
ここでは、機織り機にかけて、縦糸と横糸を交互に織っていく。

一坪で上手に栽培すれば500グラムの綿花がとれるので、ストール一本くらいはつくれるそうだ。
しかし、ここまで来るのに、どれだけの時間が必要なことか。
今、和綿はほとんど絶滅の危機に瀕しているという。
何でもなく日常的に当たり前と思って着ている衣服の布も、本当は、このような行程を経て作られるものであることを私たちは、いつのまにか忘れてしまっている。
生産性第一の生活で、私たちが失ってしまったもの、この和綿の話は、このような生き方をもう一度、考えさせてくれる。
農薬を使わない、自然の和綿づくり、人の生活や自給自足について考えは、まちがいなく自然農ともつながっている。

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